採用面接での「上から目線」はバレてますよ

「いやぁ、採用面接を何人もやってるけど、いい人がいなくってさぁ」
「しょうがないから、そこそこのヤツで手を打って、あとは育つのを期待するよ」

採用難で、応募者がいるだけでもありがたい中、
そうはいっても、候補者の質に不満というのは、本当に悩ましい話です。

一方で、候補者の側から見ると、どうでしょうか。

「いやぁ、採用面接に何社か行ってみたけど、いい会社がなくってさぁ」
「しょうがないから、そこそこの会社で手を打って、ダメなら次に期待するよ」

 

<力関係の変化>

採用面接での力関係、「雇う側」と「雇われる側」のスタンスが、
特にこの10年で、大きく様変わりを見せました。

「雇ってあげる側」「選んでいただく側」に格落ちしてしまってからも、
どうにも戸惑いをぬぐい切れないのが、雇う側の自然な感情だと思います。

そして、力関係の大きなポイントは、
・会社  「一度雇ったら、なかなか辞めさせられないからなぁ」
・候補者 「いやな会社だったら、すぐ辞めて、次を探せばいいし」
という選択権の自由度にもあらわれます。

ひと昔前をよく知る方々にとっては、何とも面倒?な状況になってきました。

 

私も採用面接に同席する中で、面接が上手な方と、そうでない方の違いを見てきて、
問題も多かったので、採用面接のトレーニングも行ってきました。

面接が上手でない方は、とかく、見極め力の向上や、話術の上達で何とかしよう、
と、いわば小手先の工夫で何とかしよう、と考える方が多いように思います。

 

<面接官が負う役割>

でも実際には、そんなことよりも、面接官が自分の立場を分かっているかどうか、
という点が、大きなインパクトを持っています。

具体的には、面接官という役割の大前提として、
① 会社という商品のセールスマンとして、候補者に選んでもらう
② 自分という人間を、「この人といっしょに働いてみたい」と思ってもらう
という2点を明確に意識できているかどうか、が重要です。

逆に、「オレの洞察力で、相手の実力を見極めてやる」と意気込む人ほど、
候補者からは、「この人、上から目線でうざいなぁ。絶対一緒に働きたくない」
と思われて、他社に逃げられてしまう、という典型的なパターンに陥ります。

 

<時間の使い方>

「上から目線」は、面接の時間配分にも端的に現れます。

上から目線の面接官は、自分が質問して相手が答える、というやり取りで、
8割以上の時間を費やしています。いわゆる「ジコチュー」ですね。
下手したら「詰問」にさえなっています。

一方で、上手な方は、上記の時間をなるべく5割程度に抑えて、
残りの5割で相手の質問や関心事項に応えたり、会社や仕事の説明に費やしています。

そして、自分の説明に対する候補者の反応の中から、人物的な特徴を観察して、
会社や職場にマッチするかどうかを判断しています。

これにより、候補者にとっては、一方的に回答を求められるよりも、
「自分の話を聞いてくれた」という感覚を持ちます。

 

<面接が職場の風土を体現する>

そしてこれは、会社に入ってからも、一方的に指示命令される職場ではなく、
自分という人間を尊重してくれる職場だろう、と想像します。
それが、働く人にとっての、魅力的な組織風土、にもつながります。

さらに、面接を通じて会った人を通じて、「この人となら働いてみたい」と思い、
入社を決心するというのは、ごくごく自然な感情です。
(処遇条件に大して差が無ければ、ですが)

 

<選ばれるための組織風土>

採用面接が「一方的な見極めの場」から
「相手を尊重して、魅力を伝える場」へと、着実に変わってきているこの時代、
面接を行う側の、根本的なマインドセットが変わっていないと、
いまの厳しい採用市場での競争において、勝利からは遠ざかってしまいます。

特に、採用面接を「仕事がデキて信頼できるヤツ」に任せている場合、要注意です。
そういう方の中には、自分の成功体験が大きすぎて、自信もあり、
マインドセットを変えられない方が多い、という傾向も見られます。

採用面接というちょっとした接点においても、会社の組織風土が見えてしまい
「選ばれる会社」になるか、「上から目線だ」と逃げられるのか、分岐点になります。

 

あなたの会社の採用面接は、「候補者を魅了する場」になっていますか?

 

文責:蛯原 淳(えびはら じゅん)

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