「チームワークが悪い」「横の連携が弱い」——経営者からよく聞く悩みです。
一方で、チームワークの前提条件が置き去りにされている組織も、よく見られます。
重要な前提条件が整ってないままに、いくら「連携する」「助け合う」「仲良く」
といったスローガンを唱えても、成果に結びつくチームワークは生まれません。
1)「仲良し」と「チームワーク」は別物
スポーツでは、「勝ちたい」と思わない限り、強いチームワークは生まれません。
「勝ちたい」という明確な目標があるからこそ、厳しさが受け入れられます。
目標の定義が曖昧なチームに、本当の一体感は生まれません。
会社組織も同じです。
「良い雰囲気」は大切ですが、目標と勝つための条件が不明確な「仲良し」は、
往々にして、ぬるま湯の、内向き最適に流れてしまいます。
2)勝敗は「言葉」ではなく「数字と事実」で
リーダーに求められることは、自分のチームが勝っているのか負けているのかを、
常に「数字と事実」で示すことです。
売上、粗利率、受注数、プロジェクトの課題解決数、マイルストン達成状況、等々。
「がんばろう」だと号令だけですが、「数字と事実」は行動の地図です。
常に具体的なレベルで「何を、いつまでに、どれだけ」足りないかを示し続けると、
良い成果が出た時も、タイムリーに「数字と事実」で称えることができます。
3)「勝ちたい」という「情熱」は伝染する
そして何よりも、リーダー自身が「勝ちたい」という情熱を見せることが不可欠です。
誰よりも「勝ちに行く」姿勢を周囲に見せ、勝つために痛みを伴う「判断」を示す。
「情熱」とは、声の大きさや頻度ではなく、具体的な行動の頻度と決断を通じて、
チームメンバーにも伝染していきます。
よくある誤解と失敗
~「雰囲気が良ければ、チームワークは生まれる」
一時的には良く見えますが、目的や勝ち負けの基準が曖昧なままだと、
徐々に「誰も痛まない/全員にやさしい選択」がされがちになり、
ぬるま湯化、ビジネスとしての競争力を失ってしまいます。
~「数字を出すと、雰囲気が悪くなる」
「数字が悪い=人を責める」となってしまうと、本末転倒です。
悪い数字は、今起きている問題を客観的な敵とみなして、
メンバーが一緒になって倒すための武器として使うべきです。
~「やれることは何でもやる」
チームワークを良くするための、組織内の規律や、教育訓練、相互理解、等々
はとても重要ですが、順番を間違えては逆効果です。
目的、勝利の定義、現状の勝敗、といった要素が常に共有されてこそ、
規律は秩序として機能し、教育訓練は投資対効果を生み、
相互理解と思いやりは成果に変わります。
一方で、前提条件が欠けたままの「横串プロジェクト」「懇親会」等々は、
往々にして空回りに終わります。
— 仲良しでは勝てない。勝敗を「数字と事実」で示すのがリーダーの仕事
チームワークとは、友情や気合いの副産物ではありません。
「勝ちたい」という強い意思と、「数字と事実」による勝敗の可視化、
という前提条件が整った上で、はじめて機能する「組織の仕組み」の設計です。
まずは、会社や各組織のスコアボードを1枚つくって、情熱をもって行動で示す。
そこから、メンバーに伝染していく、本物のチームワークが動き始めます。
あなたの会社では、「勝ちたい」という情熱と、勝ち負けの基準が共有されていますか?
文責:蛯原 淳(えびはら じゅん)
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