社員向け研修で、お金をドブに捨てるパターン3選

 

「幹部社員の意識とマネジメント力を高めたくて、有名な研修を受けさせたけど、
どうも変化が感じられないんですよね。なぜなんでしょうか?」
とある経営者のつぶやきです。

知人の経営者からの「受けさせて良かった」との薦めもあって取り入れたが、
何十万円も払った元が取れた気がしない、ということでした。

 

(以下、その時の会話の一部です)

私 「その研修内容を、社内で最も実践できているのは誰ですか?」

Aさん 「誰もできてませんよ、だから受けさせたんですよ」

私 「Aさんご自身はいかがですか?」

Aさん「私はトップなので、そもそも求められるものが違いますからねぇ」

私 「その研修で幹部社員に求められる、最も大きな変化は何ですか?」

Aさん「それは人によって違うと思うけど、研修ってのは結果として、
マネジメント能力が上がること、が大事なのではないですか?」

 

いかがでしょうか?
皆さんは、Aさんの言い分に賛同されますか?

私は、経営者が研修に期待する、典型的な機会損失を感じました。

 

研修とは、非常にうまく設計されたものが多く出回っています。
そして、それを服用すれば(させれば)、あたかも病気が回復する、
課題が解決するかのような、研修業者の誤ったセールストークも罪ですが。。

 

【よくある失敗①】
  何のために受けるのか、期待値が全く伝わっていない

 

自分から受けたい、と手を挙げた場合以外、
研修は「受けさせられるもの」であり、基本的な姿勢は「受け身」です。

本当は、研修より仕事をしてた方がましだ、と思いながら、
いやいや受けている人の方が、はるかに多いのが、フツーです。

 

研修を始める時に、参加者に「今日はなぜこの研修に来たのですか?」と聞いて、
「上から言われてきました」という方が多い会社は、もう失敗したも同然です。

そして、研修講師のモチベーションもダダ下がりです。
(プロなので仕事はしますが、職場での効果は期待できないな、と思っています)

 

皆さんも、自分の心の中に、「内発的」な動機がある仕事やイベントと、
「外圧」やお付き合いで、とりあえずやっていることとでは、
モチベーションや学習意欲が大きく違うのではないでしょうか?

研修も「自分は何を期待されていて、何のために、何を学び取るのか」の有無で、
学習効果は天と地ほど差がついています。

上手な会社・経営者・上司は、ここをきちんと植え付ける努力をしています。

 

【よくある失敗②】
  研修で学んだことを、上司がやっていない、サポートしない

 

よい研修からは、本当に大きな学びが期待できるものです。

そこでの気づきや学びが大きく得られた人ほど、
「よし、職場に戻ったら、自分はもっとこうやってみよう」
と決意を新たにする人も、少なくありません。

 

しかし、その熱い気持ちを、一気に覚まし、叩き潰すのが、「上司の言動」です。

せっかくよいインプットを得て、それを職場でやろうとしても、
上司や上層部がまったく違うことをやっていたら、
「自分だけがやっても、意味ないじゃん。ムダムダ、やーめた」
となるのは、サラリーマンとしては、しごく当然です。

 

さらにひどいのは、上司から
「やっと休憩から帰ってきたか」
「どんな研修を受けてきたのか知らないけど、休んでた分の仕事は頼むな」
などと、研修を仕事と全く別物として扱われるケースも多く聞かれます。

こうして、職場に戻ると、何一つ変わらない、今までの日常だけを要求されて
3日後にはすべてをサッパリ忘れてしまう、というパターンです。

 

【よくある失敗③】
  研修だけで変化が起きる、と勘違いしている

 

お金を出して研修に送り込んだら、社員が変身して帰ってくる
ある意味、夢のような話です。

そんな甘い話があるわけ、ありません。

例えば、昔の餃子の王将のような、超スパルタ根性系研修だと、
「見違えって帰ってきた!」という例もあったかもしれませんが、
今の時代では限界があります。

 

ちょっと話は変わりますが、子どもの教育でも、似たことが見られます。

昔は、子どものしつけは、各家庭が責任をもって行っていたものが、
昨今、その役割を学校に期待する親が増えている、と聞きます。

しかし、教師にしてみれば、いくら学校できびしくしつけても、
家で甘やかされてたら、身につくわけがない、ということです。

 

先生が良かれと思って
「給食のシチューをこぼして汚れた床は拭いてね」と言っても、
言い訳する、人のせいにする、上靴で踏んで床になすりつける、等々。

おそらく、家でシチューを床にこぼしたら、親が拭いてあげてるのでしょう。

 

教育の場と、日常生活の場とで、一貫性がないと、教育の効果は出ません。

研修の場と、日常業務の場とで、一貫性がないと、研修の効果は出ません。

 

社員に対して何かを期待する時には、
ある瞬間や、限られた場面だけで、経営者の想いやメッセージを伝えても不十分です。

日常業務の場で、メッセージと一貫性のある状態や仕組みが整ってないと、
何も実現できてない、という結果に陥ってしまいます。
(いわば、組織内での言行不一致、ですね)

 

その根幹を形成するものが、経営者の意思にもとづく「組織風土」の形成です。
教育も「組織風土」を形成するひとつの要素として、緻密なデザインが必要です。

 

あなたの会社は、社員への教育方針と、日常業務との一貫性がありますか?

 

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